ディスるは、今では、相手をけなす、悪く言う、ばかにする、きびしく批判する、といった意味で広く使われる言葉です。会話でもネットでもよく見かけますが、もともとは改まった日本語ではなく、かなりくだけた俗な言い方でした。
この言葉の土台にあるのは、英語の disrespect です。意味は、相手を尊重しないこと、軽んじること、見下すことです。日本語のディスるは、まずこの外来語の響きを受け取り、それを日本語らしく動詞にした表現だと考えられています。
ただし、日本語のディスるは、英語の disrespect をそのまま写しただけではありません。英語では、これを短くした dis や diss という俗な形も広く使われ、相手を insult する、つまり侮辱する、けなす、という意味で用いられます。日本語のディスるは、この短い形の影響も重なって生まれたと見るほうが自然です。
ですから、語源を一言で言えば、英語の disrespect、またはそこからできた短い俗語 dis / diss をもとに、日本語で「る」をつけて動詞化した言い方、ということになります。外来語に日本語の動詞の形を重ねた、いかにも現代らしい作りです。
この作り方は、日本語ではめずらしいものではありません。名詞や外来語に「る」をつけて、動作を表す言葉にすることがあります。ディスるもその仲間で、意味は「ディスする」よりもさらに縮まり、口語らしい勢いを持つ形になりました。
この言葉が広がるうえで大きかったのは、ヒップホップの文化です。ラップでは、相手を名指ししたり、相手の態度や作品をきびしく批判したりする表現が一つの型として育ちました。そこで、相手をおとしめることをディス、あるいはディスるというようになり、その言い方が音楽の外へも広がっていきました。
そのため、ディスるの初めの感じは、ただ静かに反対意見を述べることではありません。相手を軽んじる気持ちや、ことさらにきつく言う感じが前に出ています。今でも「批判する」と「ディスる」とでは、後のほうが、ばかにする気配やとげのある言い方を強く感じさせます。
日本では、この言葉はまず若者ことばやネットのことばとして広まりました。その後、テレビや雑誌でも目にするようになり、今ではかなり多くの人に通じる表現になっています。ただし、意味のもとに「軽んじる」があるので、やわらかな日常語とは言いにくく、場面を選ぶ言葉です。
表記はふつうカタカナの「ディスる」が用いられます。これは、外来語の響きを残しつつ、日本語の動詞として読ませるためにいちばん分かりやすい形だからです。「ディする」と書くこともできなくはありませんが、実際には「ディスる」のほうがすっかり定着しています。
なお、この言葉を、英語の接頭語 dis- だけから説明してしまうのは少し広すぎます。日本語で使うディスるは、単なる「否定」ではなく、相手への無礼や軽視、悪口の感じをはっきり持っています。その点で、もとになったのはやはり disrespect や diss と考えるのがいちばん分かりやすいでしょう。
ディスるの由来をまとめると、英語の disrespect、またはその短い俗語 diss から来た言葉で、それを日本語で動詞化した表現です。ヒップホップなどの文化の中で力を持ち、のちにネットや日常会話へ広がりました。短い言葉ですが、その中には「相手を尊重しない」という、かなりはっきりした意味が残っているのです。
主な参考文献
・『デジタル大辞泉』
・Merriam-Webster Dictionary
・『プログレッシブ英和中辞典 第5版』















































































































