見かじめ料は、いまでは主に、縄張りだとする場所で営業する店などに対して、営業を認める見返りのような形で不当に求める金品を指す言い方です。ただし、この言葉は最初から金銭だけを表していたわけではなく、土台には「みかじめ」という別の言葉があります。
まず確かめておきたいのは、「みかじめ」という語そのものが、古くから単独で使われていたことです。この語は、取り締まり、指揮、監督、あるいは後見をすることを表す言葉として伝わっています。
古い用例としてさかのぼれるのは、1869年(明治2年・明治時代初期)の『科除規則』です。そこには「大勢の差配又は見ケ〆などを任せ置たるものの無理を行ふことを知ながら」とあり、この時点で「見ケ〆」という形が、差配と並ぶ、監督や取り締まりにかかわる言葉として使われていたことが分かります。
この用例から分かるのは、「みかじめ」がだれかを見張り、まとめ、勝手なふるまいをさせないようにする働きを指していたということです。つまり、もともとの中心は「金を取ること」ではなく、「管理すること」「見張ること」に近いところにありました。
そのため、見かじめ料という言い方は、先にあった「みかじめ」に「料」が付いて、「管理する名目で取る金」「見張りや後見の名目で要求する金」という形に進んだと考えると、言葉の組み立てとしては理解しやすくなります。これは古い「みかじめ」の意味と、今の「見かじめ料」の使われ方をつなぐ見方です。
ただし、ここで大切なのは、見かじめ料の語源そのものは、ひとつに決まっていないという点です。伝わっている説明には、毎月三日に取り立てたからという話、要求してから三日以内に払わないと締め上げるからという話、さらに「見ヶ〆」という字を当てて管理の意味から説明する話など、いくつもの説があります。
このうち、三日に結びつける説明は、覚えやすく、いかにもありそうに感じられます。けれども、そうした話だけで語源を言い切るのはむずかしく、現在伝わる説明でも、ひとつの説として並べられているにとどまります。
それに対して、「みかじめ」が単独で使われていたことは、1869年(明治2年・明治時代初期)の文献にはっきり残っています。したがって、由来を考えるときは、「三日」という説明をそのまま本筋にするより、まず古くからあった「みかじめ」という語の存在を土台に置くほうが、無理のない理解につながります。
表記についても注意が必要です。「見かじめ料」と仮名交じりで書く形のほかに、「見ヶ〆料」と書く形もあります。また、もとの語も「見ケ〆」「見ヶ〆」などと書かれてきました。けれども、こうした字面だけを見て、「見て締めること」がそのまま語源だとすぐ決めることはできません。今ある漢字表記は、意味に合わせて当てられた書き方である可能性もあるからです。
実際、「みかじめ」は後の文学作品でも、金銭そのものではなく、後見や監督に近い意味で使われています。こうした使い方が残っていることからも、言葉の出発点が、取り立てそのものではなく、人や場を管理することにあったと考えるのは不自然ではありません。
そこへ、繁華街や営業の場を押さえる者が、その「管理」や「後見」を口実に金を取るようになれば、「見かじめ料」という言い方が生まれる流れは理解しやすくなります。つまり、古くからあった言葉が、裏社会の取り立ての場面と強く結びつくことで、今のような重い意味を持つようになったのです。これは文献にある古い意味と、現代の用法をつなげて考えた説明です。
まとめると、見かじめ料の語源は確定していません。しかし、古くからある「みかじめ」が監督や後見を表す言葉だったことは確かめられます。そのため、言葉の成り立ちとしては、まず「みかじめ」があり、そこに「料」が付いて現在の意味に進んだと考えるのが、もっとも分かりやすく、古い用例にもよく合う説明です。
主な参考文献
・『精選版 日本国語大辞典』
・『デジタル大辞泉』
・『共同通信ニュース用語解説』
・『科除規則』
・『暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律』














































































































