「陽炎」(かげろう)という言葉は、元々は「かぎろひ」と言われていました。
この古い表現は、日の出が近くなる明け方に地平線上で見られる赤みがかった光、すなわち曙光を指していました。
この「かぎろひ」において、「かぎ」の部分は、「きらきらとゆれて光る」または「ちらつく」といった意味を持つ言葉「かがよう(耀ふ・赫ふ)」と同源です。
一方で、この語の「ひ」は「火」を指しています。
従って、この言葉は元々、揺れて光る炎に見えるような自然現象を形容していました。
時間が経つにつれ、この言葉は春のうららかな日に見られる熱気によって生じる光の屈折現象に用いられるようになりました。
この現象は、日射の影響で熱くなった空気が光を不規則に屈折させるために生じます。
さらに、この言葉は「はかないもの」や「ほのかなもの」を形容する際にも使われるようになり、一般化しています。
時には「蜉蝣」(という短命な昆虫)を意味することもあるほど、この言葉は多義的な用法を持っています。
かげろう【陽炎】の意味・語源由来!表で簡単まとめ
表を使って、「陽炎」の語源、元々の用途、現代での多義的な用法、自然現象のメカニズムなどをカンタンにまとめます。
項目 | 詳細・内容 |
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元々の表現 | 「かぎろひ」として知られ、曙光(明け方の赤みがかった光)を指していた。 |
語源 | 「かぎ」は「きらきらとゆれて光る」または「ちらつく」を意味する言葉「かがよう」と同源。「ひ」は「火」を指す。 |
現代での用途 | 春の熱気による光の屈折現象を指す。また、はかないものやほのかなものを形容する際にも使用される。 |
自然現象のメカニズム | 日射の影響で熱くなった空気が光を不規則に屈折させる。 |
多義的な用法 | 「蜉蝣」(短命な昆虫)を意味することもある。 |