「我慢」という言葉は、現代日本語では「辛抱すること」や「耐え忍ぶ」といった意味で広く用いられています。
しかし、この言葉の語源は仏教に由来しており、その原意味はかなり異なります。
仏教において「慢」は、思い上がりや自己過信を表す心の状態で、これをさらに七つの異なる形態に分けたものが「七慢」です。
その中の一つが「我慢」で、これは自分自身に執着し、そのことから高慢な心が生まれるという意味を持っています。
この語は、梵語で「mana(マーナ)」と呼ばれる心理状態を漢訳したものです。
しかし、時代が経過するにつれて、「我慢」の意味は変化しました。
自己中心的な心からくる高慢な状態という原初的な意味から、「我を張る」という意味に転じ、さらにはその「我」を制御して耐え忍ぶ、という現代で一般的に理解されている「辛抱すること」につながる意味へと変わっていったのです。
このように、「がまん」は元々は自己過信や高慢な心を指していましたが、時間とともにその意味が変わり、現代では心の強さや耐え忍ぶ力を肯定的に評価する言葉として広く用いられています。
がまん【我慢】の意味・語源由来!表で簡単まとめ
表を使って、「がまん」が仏教的な語源からどのように意味が変わってきたのか、その進化過程をカンタンにまとめます。
キーワード | 説明 |
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がまん(我慢) | 現代日本語では「辛抱すること」や「耐え忍ぶ」といった意味で用いられる |
語源 | 仏教に由来。梵語で「mana(マーナ)」と呼ばれる心理状態を漢訳したもの |
原意味 | 思い上がりや自己過信を表す「慢」という心の状態。特に「我慢」は、自分に執着し高慢な心が生まれるという意味 |
七慢 | 仏教において、「慢」を七つの異なる形態に分けたもの。その中の一つが「我慢」 |
意味の変化 | 元々の自己過信や高慢な心から、「我を張る」に転じ、さらに「我」を制御して耐え忍ぶという意味へと変わった |