「折角」という言葉は、現代日本語で「わざわざ」という意味でよく用いられますが、その起源は古代中国のエピソードに端を発します。
元々「折角」の意味は「高慢な人を打ち負かすこと」でした。
この意味の背景には、前漢の時代の人物、朱雲の逸話が存在します。
彼は五鹿充宗という学者と易(占いの一種)に関する議論を交わしました。
五鹿充宗はその知識と議論の技術で、過去に誰もが言い負かすことができないとされていました。
しかし、朱雲は彼を見事に言い負かしたのです。
この出来事を受けて、人々は「よくぞ鹿の角を折った」と賞賛の言葉を述べたと言われています。
このエピソードは『漢書(朱雲伝)』に記されています。
さらに、「折角」が「わざわざ」という意味で使われるようになった背景にも、古代中国のエピソードが関与しています。
後漢の時代に、郭泰という人物が雨に遭遇しました。
この雨のために、彼が被っていた頭巾の一方の角が折れ曲がってしまったのです。
この特徴的な姿を見て、当時の人々がそれを真似るようになりました。
彼らは特に意味もなく、ただの流行として、頭巾の一方の角を故意に曲げて被るようになったのです。
このエピソードは「後漢書」に記されています。
このように、「折角」という言葉は、古代中国の歴史や文化、特定の人物の逸話に深く根ざした意味を持っています。
そして、時代とともにその用法も変化してきましたが、その背後には色々なエピソードや歴史が隠されているのです。
せっかく【折角】の意味・語源由来!表で簡単まとめ
表を使って、「折角」という言葉の由来や背後に隠されたエピソード、そして文献の情報をカンタンにまとめます。
項目 | 説明 |
---|---|
現代の意味 | 「わざわざ」として用いられる。 |
元々の意味 | 「高慢な人を打ち負かすこと」。 |
背景のエピソード1 | 前漢の朱雲が五鹿充宗との易の議論で彼を言い負かした。五鹿充宗は過去に誰もが言い負かすことができないとされていた。この出来事は「よくぞ鹿の角を折った」と賞賛された。 |
背景のエピソード2 | 後漢の郭泰が雨で頭巾の一方の角が折れた。これが流行として、人々も頭巾の角を故意に折って被るようになった。 |
文献の記述 | 朱雲のエピソードは『漢書(朱雲伝)』、郭泰のエピソードは「後漢書」に記されている。 |
総括 | 「折角」は古代中国のエピソードや歴史に深く根ざした意味を持ち、時代とともに用法が変化してきた。その背後には様々なエピソードや歴史が隠されている。 |