【意味】
(肉親への愛から小さいものへの愛に、そして小さいものの美への愛に、と意味が移り変わり、さらに室町時代には、美そのものを表すようになった。)
①愛らしい。かわいい。いとしい。
②ア.形・色・声などが快く、このましい。きれいである。
イ.行動や心掛けが立派で、心を打つ。
③いさぎよい。さっぱりして余計なものがない。
【語源・由来】
古くは、肉親に対する愛情のことで、「心がひかれる」、「いとしい」という意味だった。「万葉集」に「妻子(めこ)見ればめぐし(かわいらしいし)」とある。上代では妻子など自分より弱いものに対して抱く慈しみの感情を表した。平安時代以降は、幼少のものや小さいものがかわいらしいという意味で用いられ、「竹取物語」に「三寸ばかりなる人、いとうつくいうてゐたり」とある。平安時代末期頃から「きれい」を意味するようになる。「美」は「羊+大」で、形のよい大きな羊を表し、古代中国の周代の人々が、羊を最も大切な家畜としていたことからと考えられる。