「苺(いちご)」という言葉は、日本で非常に親しまれている果物を指しますが、その語源は古い歴史を持っています。
もともと、この果物は「蓬蔂(いちびこ)」と呼ばれていました。
古典文学や史料にもその名が見られます。
例えば、「日本書紀」には「伊致寐姑(イチビコ)」とあり、平安時代の辞典「倭名抄」や随筆集「枕草子」にもこの果物についての記述があります。
「蓬蔂」または「イチビコ」が何から来たのかについては複数の説があります。
一つの説としては、「い」は接頭語であり、「ち(血)」は実の赤さを表すとされています。
最後の「びこ(彦)」は一般的に人名に使われることが多く、この組み合わせで「いちびこ」となったとされています。
また、別の説としては、「いち(甚)」が「甚だしい」という意味であり、「び(緋)」は深紅色を指すとされています。
これに「こ」という接尾語がついて「いちびこ」となったともされています。
さらに、「覆盆(ふくぼん)」という言葉が使われることもあります。
これは「覆いをした盆」や「ひっくり返った盆」という意味であり、実の形状がそれに似ているからとされています。
このように、苺(いちご)の語源は非常に古くから日本に存在していて、時代や文献によって呼び名や由来が少しずつ異なることがわかります。
現在の「いちご」という言葉は、これらの古い表現が時代と共に変化してきた結果と言えるでしょう。
いちご【苺】の意味・語源由来!表で簡単まとめ
表を使って、「苺(いちご)」の語源とその意味、及びその変遷に関する主要なポイントをカンタンにまとめます。
ポイント | 説明 |
---|---|
基本意味 | 日本で非常に親しまれている果物 |
古い名称 | もともとは「蓬蔂(いちびこ)」と呼ばれていた |
古典文学での記載 | 「日本書紀」、「倭名抄」、「枕草子」などに名前や記述がある |
「いちびこ」の説明1 | 「い」は接頭語、「ち(血)」は実の赤さ、「びこ(彦)」は人名によく使われる |
「いちびこ」の説明2 | 「いち(甚)」は「甚だしい」、「び(緋)」は深紅色。これに「こ」という接尾語が付く |
別の呼び名 | 「覆盆(ふくぼん)」も使われる。これは「覆いをした盆」や「ひっくり返った盆」の意 |
時代の変遷 | 名称や語源は時代や文献によって異なる。現在の「いちご」はこれらが変化した結果 |