「吾」や「我」という言葉は、現代日本語において「わたし」「われ」といった意味で使われることがありますが、その語源は多岐にわたっています。
元々、この言葉は主に上代に使われていたもので、平安時代に入ると主に「あが」という形に変わり、使用頻度も減少しました。
この「吾・我」という言葉の語源を考察すると、いくつかの可能性が示唆されています。
一つ目の説としては、この言葉が漢語の「ア(我)」や朝鮮古語の「ア」と関連があるというものです。
これは、近隣の言語との共通点を示唆するものと言えるでしょう。
二つ目の説は、人々が名前を呼ばれた際の応答、つまり「呼ばれて答える音声」から派生したというものです。
これは、自分を指す言葉としての「我」が、人とのコミュニケーションの中で形成されたという考え方です。
三つ目の説は、人が出す「叫び声」から派生したというもので、これは「ウ(自)」や「オ(己)」といった言葉とも関連していると考えられます。
そして参考情報として、上代ではこの「吾・我」という言葉の使用例はあまり多くないものの、中古時代以降は主に「が」とともに連体修飾語として使われるようになりました。
この変化の中で、「吾・我」は特定の文脈や親愛感を表現する際に限定的に用いられるようになっていったのです。
あ【吾・我】の意味・語源由来!表で簡単まとめ
表を使って、「吾・我」という言葉の重要ポイントとその語源・意味の変遷をカンタンにまとめます。
項目 | 説明・内容 |
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現代での意味 | 「わたし」「われ」など、自分を指す言葉として使用。 |
使用時代 | 元々、上代に使われていた。平安時代には「あが」と変わり、使用頻度減少。 |
語源の説1 | 漢語の「ア(我)」や朝鮮古語の「ア」と関連があるとの説。近隣の言語との共通性を示す。 |
語源の説2 | 人々の名前を呼ばれた際の応答(呼ばれて答える音声)から派生したとの説。自分を指す言葉としての形成を示す。 |
語源の説3 | 人が出す「叫び声」から派生したとの説。「ウ(自)」や「オ(己)」との関連を持つ。 |
使用例の変遷 | 上代では使用例が少ないが、中古時代以降、「が」とともに連体修飾語として使用。特定の文脈や親愛感を表現する際に限定的に用いられるように。 |